エッチなDVDを人に譲る

 引っ越しのダンボールが届いたので、とりあえず箱詰めしやすい本から手を付けてみた。小さい箱にいっぱいに入れたら、とてもじゃないけど重くて持てなくなった。半分に減らして上に軽いクッションなどを詰めながら、引越しのバイトに優しいなあと自分で自分を褒めた。

 本とごちゃごちゃしたもので、ダンボールが5箱も埋まった。古本屋にけっこう売ったはずなのに。そしてまだ読んでない本もたくさん出てきた。

 本棚の奥から昔購入したゲイDVDも30枚ほど出てきた。実家暮らしでもないし、人を呼ぶこともないのに奥に隠してるなんてとてもいじらしい。

 実家に持って帰るわけにもいかないので、おホモだちに差し上げた。

 自分の趣味がバレるので、少々気恥しいが、その友達はゲイDVDにモザイクをかけるアルバイトから、正社員になった強者なので、多少のフェチくらいでは動じないだろう。そして何よりコツコツ集めた、汗と涙と汁の結晶を捨てるのは忍びなかった。

 

 積み重なったダンボールと、がらんとした本棚を見たらとても寂しくなった。ちょっと片付けをするのが早かったかもしれない。