ちなみに私は芋みたいな男が好きです。
とても頭の固い人がいる。
今まで自分がやってきて成功した方法しか手段は無いと思っている。その問題を解決するにはたくさんやり方があるのに、他を全く見ずに全部否定してしまう。
そんな人と今日、仕事で関わることになった。
具体的にはプログラムのロジックの話なのだが、その人が言っている方法を実装すると、かなり面倒な作業になるので、別の提案を小一時間ほど説明したが無駄に終わった。
求められる結果は同じなのに、その過程が理解できないため、何か問題があったときに説明ができないという。理解ができないのは人の話を聞こうとしないからではないのかと、もう少しで言っちゃいそうになったが我慢した。
ランチは、中島みゆきの歌の『蕎麦屋』を演じてみたくなって、駅のコンコースにある立ち食いそばを食べた。
「あのね わかんない奴もいるさって あのね わかんない奴もいるさって」てイヤホンから聞こえる度に、丼に浮かんだ乾燥しかけのワカメが、出汁でふやけるように、心もほぐれていった。やっぱりみゆきは凄い。
午後は午後で別の案件がぶわーっときたのでササッとかわして後回しにした。
夜はさつまいもがあったので、さつまいもご飯と、惣菜のコロッケをおかずに買ってきたが、芋ばっかりの食事になってしまった。
芋はいい。あの丸っこい歪でゴロゴロした中にすごいパワーが入っている気がする。
そしてイモという響きも暖かくて良いではないか。特に『も』がいい。五十音の中でよくこれを持ってきたなと思う。さ行だとシュッとしてしまうし、濁点をつけると温かみにかける。半濁点だと可愛らしくなるし。
田舎から都会に出てきた、まだ、ほっぺたを赤くして方言が抜けない上京男子のような、垢抜けさが芋にはある。ああ、芋って素敵。と思いながらバクバク食べていたら腹が苦しくなった。どうやら腹の中で都会のネオンに染まってしまったらしい。