いってきますと言う

 親の介護のために地元へ帰ってきた。

 こんなコロナの最中に帰っていいものか迷ったけれど、母親の認知症に父親もまいっているので、そろそろ限界だなと思って帰ってきた。

 金曜日に6年間ルームシェアをしてた友達、今朝は彼氏に「いってきます!」と言って出てきた。

 絶対泣かないって決めたのに、彼氏の手料理を食べたり、定番の目玉焼きとウインナーの朝ごはんを食べていると涙が止まらなかった。今朝も玄関で大泣きして、彼氏の顔もあまり見れなかった。


 22歳の時に大阪にひょっこり出てきて、なんだかんだしんどい思いもしたけれど、大好きな人にも、家族みたいな友人にも、人に恵まれた仕事にも出会った。大阪を去ることがこんなに辛いということは、22歳の僕の決断と、14年間の生活は間違っていなかったんだと確信したし、僕は幸せだということにも改めて気がついた。


 実家に着いたら年老いた両親が寒い家で寄り添って暮らしていた。色々ボロくなったり汚れたりしたものはいずれ買えばいい。料理を覚えよう、片付けも少しずつしよう、少しずつ少しずついい方向になるように。


 今回決断した生活もいつか終わりが来るだろう。その時また、36歳の自分の決断が間違っていなかったなと思えるように、これから生きていこうと思う。